突然ですが、皆さんは中国の学校教育と聞いてどんなイメージをお持ちですか?
私は先日まで、誰もが大学受験に向けて学校の寮や塾に入り、鉢巻をして一日中勉強に取り組むというイメージを持っていました。
しかし2021年、「宿題禁止令」が中国政府より出されているのはご存じでしょうか。
今回は、「宿題禁止令」政策の目的は一体何なのか?この政策によって人々の活力は上昇していくのか?に迫ります。
そもそも「宿題禁止令」の内容は、、、
・小学1~2学生の宿題は禁止。小学3~6学生は1時間以内、中学生は90分以内とする。
・子供が努力し、仮に宿題が完成しなくても就寝時間を厳守。
・学校と保護者は家の手伝いやスポーツ、読書などを奨励する。
・学校は放課後、一般企業の法定退勤時間まで宿題や授業の解説など教師による学習指導を行う。
等々、勉強以外にもたくさんの『規制』がかけられています。
この政策における中国の狙いは、深刻な少子高齢化問題対策です。
というのも、教育の熱が高余るあまり、教育費が保護者の経済的な負担となり、
子どもを持つにも、1人で精一杯な状態になっているのです。
以上のような狙いはあるものの、さらに背景を探ると、
中国における「若者たちの無気力化」をどうするか?という課題が見えてきました。
2021年から今日にかけ、中国の若者の間で「寝そべり」という意識潮流が広がっています。
「家を買わない」「車を買わない」「結婚しない」「子どもを作らない」「消費しない」「頑張らない」という六つを“しない”。
そして、「誰にも迷惑をかけない、最低限の生活をする」ことを指すといったものです。
これは、社会格差が広がる中国において、いくら良い大学を出たとしても、
必ずしも良い職業につけるとは限らなくなってきたから。
まさに諦め、写真のような「無気力状態」となってしまっているのです。
画像はこちらからお借りしました。
そのような状態(寝そべり族の潮流)を生んでしまった要因の一つに、過去の私権獲得のための勉強圧力が関係しているのではないかと中国政府は考え、今回の政策に踏み切ったのではないかと考えます。
しかし、対策を講じ1年が経とうとしている今でも、高まる「寝そべり」潮流や、止まらない少子化の状態を見る限り、
今までのような勉強圧力も、はたまた、勉強圧力からの解放する宿題禁止も、どれも人々の活力には繋がっていないことがわかります。
すなわち、私権圧力(権威を維持するための圧力)ではもちろん、今回の政策である禁止圧力、つまりこれらの『強制圧力』では、人々の活力には繋がらないのです。
ただ、この構造は中国のだけのものではなく、
『80年代の受験戦争の激化による活力ダウン。その対策として、00年代の「道徳などの総合的な時間を確保した、ゆとり教育の導入も、失敗。』と、日本も辿ってきた道だとも言えます。
ただし、日本は今日の中国のように「無気力状態」にまで至ったわけではありません。
逆に、探求学舎や、自然体験から元気を取り戻す子供たちの姿からは、無気力状態とは真逆の活力上昇の兆しも見て取れます。
このように、日本と中国ではなにか大きな違いがありそうです。
その違いは一体どこから来ているのか、引き続き迫っていきたいと思います。
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