※皮膚感覚と知能進化 http://blog.nihon-syakai.net/blog/2021/10/12890.html#more
・先の記事で、皮膚触覚と身体のメカニズム解明につながるノーベル賞研究(温度受容体と触覚受容体の発見)。
・腸は第二の脳、皮膚は第三の脳。生物進化の視点では、哺乳類の段階で「皮膚と脳が共進化」していること。
・「与えられた観念」に頭を支配されている現代人は、頭で考えるより「身体で考える」(感じる)のが大事であると述べました。その続きです。
人類の知能進化。生物史をひもとくと、重要なのは次の5段階ではないかと思われます。
1.原始生命の生体膜。わかりやすく言えば、単細胞生物の細胞膜。
リン脂質膜と膜タンパク質による選択透過性は、外部環境の変化、エサなのか敵なのか、同類(仲間)なのかを識別しており、すでに「原初的な判断機能」を備えている。
さらに、多細胞生物の初期段階といわれるカイメンは、神経細胞は存在しないものの、同類(仲間)細胞の役割をお互いに認識する能力をもっており、たくみに連携行動している。
2.哺乳類。「皮膚感覚」の鋭敏化とともに、脳の新皮質の発達が見られる(共進化)。
原哺乳類(体長10~20cm程度)はとても弱い存在であったがゆえに、胎内保育と授乳による親和機能を土台として、外敵に対する多様な連携行動と、そのための同類認識が求められたためと考えられる。
3.原猿。原哺乳類に比べて新皮質の著しい発達が見られるが、これには「樹上適応」が大きく関係している。
皮膚感覚に加えて「体性感覚」(身体の感じ方と動かし方、バランス感覚)を進化させるとともに、恒常的な同類闘争(性闘争・縄張り闘争)に対応する必要から、「同類認識機能」が格段に上昇する。
この延長上に「共感・共認機能」を獲得。相手と自分を同一視、同化する(重ね合わせる)ことによって、相手の気もち(状況、欠乏、期待)がわかる。
4.類人猿(テナガザル→オランウータン)。
林冠適応によって体性感覚をさらに発達させるとともに、共認機能の著しい進化が見られる。特に母子密着(授乳、子育て期間がとても長い)、遊び、オスメスの性充足など、「一体充足」を求める脳回路が強化されている。
また極めて「好奇心旺盛」であることから、同一視・同化機能(一体充足を求める脳回路)は、同類認識のみならず、未知の対象へと拡張されている。
5.原始人類。上記の身体機能と知能進化の塗り重ねに、人類固有の「言葉=観念機能」が加わる。
「言葉」によって、人類の知能は飛躍的に進化スピードを上げることになる。
(それが災いを引き起こすことにもなるのですが)
※「身体」と「言葉」の共創関係については、諏訪正樹氏の論考が興味深いので紹介します。
□創造的な知の源泉はリアルな身体性にある https://www.works-i.com/works/series/academia/detail002.html
頭でっかちな知識から創造性は生まれない。常に身体の存在を意識し自分のことばで語り続ける。・・・
□イチローは「説明できるヒット」を欲した https://news.kodansha.co.jp/20160609_b01
身体知(からだに根ざした知)を学ぶためには、実はことばが重要な役割を果たす。・・・
人類の知能進化の歴史をたどることは、現代の我々の能力論、人材育成を考えるうえで、極めて本質的な示唆が得られます。
哺乳類・サルの知能進化の歴史から、何を学ぶべきか? 現実の行動にどう生かせるか?
知は常に「身体」に根ざしたものであること(もともと脳は行動するためにある)、「同類(仲間)認識」が進化の原動力であること、などなど。(机上の暗記勉強がいくらできても、頭が良いとは言わない。人の気持ちがわからない人間の知識や言葉は無意味、むしろ有害・・・)
by Yusuke
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