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中国経済の実態を総括「新常態ー中国が直面する6つのボトルネック」2/2

中国経済の実態を総括「新常態ー中国が直面する6つのボトルネック」2/2

 

 

「新常態ー中国が直面する6つのボトルネック」2/2
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(以下引用)

■第五のボトルネック『金融危機』
(中略)
現在みられるのは解放改革以来、不動産業のでたらめな勘定が引き起こした第三回目の不良債務の頂点です。

第一次は朱鎔基時代で1998年にはじまり、中国政府は最初、1700億米ドルを切り離すのに6年以上の時間をかけました。しかし、古い不良債務を整理したらさらに多くの新しい不良債務が生まれてしまい中国銀行が海外で株を上場するのに大きな障害となりました。で、「賢しこいアイデア」をひねり出し4つの国有資産管理会社をつくりだし、こうした不良資産を隔離して帳面を合わせ、銀行の収支に悪影響を与えないようにしました。そしてその一部の不良資産はまとめて外国の投資会社に売り付けました。

外国投資会社がなぜそんなものを買ったのか?それは当時、彼らにとて中国の金融システムというのは謎に包まれており、そのような不良資産を購入することによって中国金融の仕組みを探っていたのです。

第二次の危機は温家宝時代で銀行の不良資産は8000億ドル以上になりました。米国で上場するためには米国証券市場の2002年7月に決まったSOX法案の規定をクリアしないとダメですから、中国は仕方なく米国の評判の高い評価機構、アーンスト・アンド・ヤング、プライスウォーターハウスクーパースなどの会計監査の助けを借りました。
(中略)
中国政府が銀行の不良資産を処理するやり口のすごさは外国の同業者を唖然とさせるほどのものでした。2008年、米国金融危機に欧州各国の銀行も大変対応に苦労し、米国事態も最後には百年来のリーマンブラザーズを破産させるしかありませんでした。これに対してウォール街ジャーナルは「中共党支部をウォール街につくればいい」という皮肉な一文を掲載して、「資産管理会社を作って不良資産をそっちに移動させ銀行とその会社の間の借金関係にして、帳簿上で何度か転がしたら、跡形もなくそんなものは消えてしまうから」と書きました。

中国の通貨過剰発行の問題についてもお話しておきましょう。この30年来の中国の経済成長の重要な手段というのは通貨の超過発行です。ここ数年は中国は世界最大の貨幣印刷マシンとなっています。2003年から2013年の10年間に基本通貨は88兆元増え、外貨資産は3.4兆米ドル増えました。投資の盛んな時期には超過発行のマイナス面ははっきりは見えません。この二年ほど投資が減速してその結果、国内貯蓄が増えて、遊動資産が増え、流動性の過剰さが増しました。これを帳消しにする手段は極めて限られており、中国金融の後ろ暗さをしっかり承知している中央銀行の周小川総裁はついにこれを相殺する方法を考え出しました。

それが2010年11月の経済サミットで提起した「池理論」で、そのあらましは短期の投機的資金、ホットマネーの流入に対応するためにしっかりと防波堤を築く必要があり、すでに国内に流入したホットマネーには”遊水池”をつくる、というものです。周のいう『池』とはなにか?それは分かりやすく言うと不動産を池にして流動性を囲い込むというものです。

それが中国の不動産価格がどんどん上がりっぱなしになって世界一になった理由です。誰かがかつて北京の不動産価格だけでアメリカ全土まるごと購入できる、と皮肉ったものでしたいまや不動産業がダメになり、株式市場が「遊水地」となり、流動性を囲い込もうとしていますが、一旦株価が下落すれば市場価値は蒸発してしまい、流動性は大々的に減ります。

中国はかくも大量の通貨を発行していますが、基本的な生活用品でみればインフレ率は高くないようです。その原因は消費物価指数には不動産ははいってないからです。米国ではいれてます。もしそのようにしたなら中国のインフレ率は相当高くなるでしょう。現在、不動産市場は下落しているので、株式市場を「池」にして、株価の急騰暴騰は暫時、金融危機を解消します。

このやり方は国民党末期の金円券制度(*リンク)よりカシコいものです。国民党の金元券は強奪に近いもので、国民党は政治的大失敗となっって、軍事的失敗と同時に財政が崩壊してしまいました。
(中略)

■第6のボトルネック『富の分配の深刻な不公平と貧富の差の拡大』
この20数年にわたって中共権力貴族層は公共財と民の財を誰憚らず略奪してきたために、貧富の差富の偏在は際立ったものになりました。
(中略)
2012年中国の家庭の財産のジニ係数は0.73で、頂点の1%の家庭が全国の三分の一以上の財産を占有し、底辺の25%の家庭の財産は総量のわずか1%前後でした。このような富の角の偏在、高いジニ係数は世界中を見渡しても中国しかありません。
ですから中国の低収入階層というのは貧民であり、人口の6割をしめており貧乏人の多すぎる社会であり、社会的に上昇していこうにもパイプがないという社会ですから、不安定要因に満ち満ちた社会なのです。
(中略)
1949年以前、中国はこの手の革命をおこないました。農民一揆と共産革命です。二番目は帝国主義的な、資本主義経済の危機にあたって、戦争によって対外的な拡張でもって国内の危機を乗り切るやりかたです。第三はケインズ方式で、国家の関与を強め、税収をたかめて赤字財政によって投資を刺激し、就職口を生み出し国民の購買力をたかめて資本主義の生産過剰の危機を解決するやりかたです。中国政府は事実上計画経済のもとで政府のコントロールとケインズ方式を一緒にしているのですがみなさんもご存知の通り効果は芳しくありません。
(引用終り)
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中国経済の実態を総括する。
「六つのボトルネック」と題して、中国の未来との関係を検証するという内容。
→中国産業の生産能力過剰危機は深刻であり、「中国経済の核爆弾」と表現されている…。
…等々

以下はその目次。
1、『中国は世界の工場の地位から転落し、復帰は絶望。産業構造再調整は極めて困難』
2、『膨大な失業者の大群』
3、『資源危機の深刻さと高度の対外依存』
4、『地方政府の泥沼債務』
5、『金融危機』
6、『富の分配の深刻な不公平と貧富の差の拡大』
「新常態ー中国が直面する6つのボトルネック」1/3
リンク
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(以下引用)
□今日の講演テーマは「中国経済発展が直面する6つのボトルネック」です。みなさんのために中国経済の実態を総括検討し、この六つのボトルネックを突破できるかどうか、中国の未来とどう関係するかについてお話しいたしましょう。
まず最初に結構なニュースを。2014年から中国はすでに世界のGDP総額で10兆ドルクラブに加入しました。このクラブのメンバーはたった二国しかなく、ひとつは米国、もうひとつが中国です。ただ、中国政府はどうもこれを喜んではおらず、GDP総額が日本を抜いたあのとしから、ずっとこの「世界第二位」の地位を遠慮して固辞し「これは国際勢力が誇大に評価した陰謀だ」と言っていますね。でも事実上、世界銀行とIMFの統計は中国国家統計局のデータをもとにして、さらに購買力平価法で計算したものですから、つまり自分でデータを水増しした結果、このようになったわけで、他人様に文句は言えないのです。

■第一のボトルネック『中国は世界の工場の地位から転落し、復帰は絶望。産業構造再調整は極めて困難』
中国という「世界の工場」は2001~2010年まで光り輝いていましたが、いまやついに取り返しのつかないほどの衰亡ぶりです。最新の報道では世界の工場からの主要工場の東莞脱出、工場閉鎖が第二の波となっているといわれ、去年一年あまりに4000の企業が閉鎖となりました。この衰亡への曲がり角は2008年です。2008年から12年までの公開データでは東莞では72000の企業が閉鎖されました。いま、労働集約型を特徴とする東莞の企業の大量閉鎖は生態環境と労働者の生命を元手とする中国経済の成長モデルがついに行き詰まったという指標です。

これ以前には中国経済の成長は三頭立ての馬、つまり投資、外国貿易、内需で牽引されていたのですが、いまではこの三頭とも息も絶え絶えで、今年の最初の3月間の外国貿易は前年比15%減でありもはや外国貿易という馬が中国経済成長を引っ張れず、別にさがさなければならないということです。過去二十数年来、不動産業界が中国経済成長のトップ産業でしたが高度にバブル化した不動産業界も停滞に陥っており、政府も企業もなんとか滑りおちるのを支えようとしてはいますが、しかし不動産業の上流・下流の数十にのぼる産業は却って全面的な生産力過剰です。

たとえば、鉄鋼業、セメント産業の生産過剰は約3割、比較的距離のある床板、家具、紡績なども深刻な生産能力過剰です。こうした産業の生産能力過剰危機は「中国経済の核爆弾」ともいわれ核爆弾と同様にいつ経済危機に引火爆発するかわかりません。ですから、中国は現在「二つのシルクロード計画」を必要として、アジア投資銀行をつくって、外国にこの生産過剰を輸出したいのです。でも、これは別のテーマですから、今日はこの計画が成功する可能性は比較的低い。なぜならこの計画にはいっている数十の国家は大部分が主権の信用がよろしからぬ国々であり、中国とパキスタンなど国際協力に別の(*政治的、地政学的な)目的がある場合をのぞいて、中国の他の国々への投資はお金が無駄になるだけだとおもう、とだけいっておきます。
(中略)

■第二のボトルネック『膨大な失業者の大群』
(中略)
長い間中国政府の発表する都市の失業率はすべて4.5%以下になっていますが、このデータは中国の失業の真実を説明できていません。第一にデータは都市の政府部門の登記された人口だけで登記外の人口は入っていません。第二には都市登記失業率は農村の失業者を除外していますが、その農村の過剰労働力は相当に膨大なもので、このふたつを除いた統計データというのはもともと穴だらけなのです

現在、中国の失業者の大群は4つの層からなっています。ひとつは農村の過剰労働力、「世界の工場」が倒産したために大量の農民が帰郷し失業状況は深刻です。ふたつには外資系のホワイトカラーですが、外資大量撤退でもとは結構な給料をもらっていたホワイトカラーが失業しています。三番目は大学生で、大学生に就職証明書があってはじめて卒業証書を出すために、学生は両親や親戚に頼んで偽の就業証明を発行してもらいますから学校が提供する就業率というのは完全に意味を失っております。4番目は都市の中学・高校を卒業して長期に家にいる「待業青年」たちです。中国のメディアでは「臑齧り族」とよばれています。

では中国の失業者はどのぐらいなのか?
今年の1月に2015ダボス会議で述べた労働費上昇で中国は1.24億人の製造業の職場が他の発展途上国に移ってしまった、というものです。現在、中国の労働年齢人口は9.4億人で、一旦失業人口が3億ともなれば真実の失業率は32%になります。
(引用終り)
つづく
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